夏休みのドリル、いま何ページ目ですか?

うちは、7月の終わりに張り切って開いた

3ページ目のまま止まっています。

表紙だけピカピカで、中身はまっさら。

あの子が最後に鉛筆を持ったの、いつだっけ……。

「宿題は5分で『もう無理』って言うのに、

ゲームだったら4時間平気なの、なんで?」

これ、うちで何回言ったかわかりません。

ため息の回数はもう数えてません。

でもね。

最近ちょっとだけ見方を変えてみたら、

うちの夕方の空気が、思ってたより変わったんです。

「5分でギブ、ゲームは4時間」は、やる気の差じゃないみたい

夏休みの午後、リビングのテーブルで画面に夢中になっている小学生の男の子。開いたままのドリルが横に置かれている水彩イラスト

集中が続かないことと、

好きなことに没頭しすぎること。

正反対に見えますよね。

わたしもずっとそう思ってました。

でもこの二つ、実は同じクセの裏表なんじゃないか、

と言われることがあるそうなんです。

つまり——集中する力がないんじゃなくて、

スイッチが入る条件が限られている

入ったときは何時間でも続く。

入らないときは5分ももたない。

その落差が人より大きいだけ、という見方です。

これを知ったとき、わたし、ちょっと言葉に詰まりました。

だってわたしはずっと

「やる気の問題」だと思ってたので。

もちろん、「じゃあゲームを好きなだけやらせとけばいい」

って話じゃないですよ。

宿題は宿題で、

8月中に終わらせないと泣くのは本人ですし。

ただ、

「怠けてる」っていう見立てを、一回だけ外してみる。

それだけで、口から出る言葉がちょっと変わるんです。

わたしの場合は、そうでした。

「去年までできてたのに」の正体

もうひとつ、あとから気づいたことがあって。

小さいうちって、

まわりが自然と「補助輪」になってくれてたんですよね。

先生がこまめに声をかけてくれる。

時間割が決まってる。

わたしも横についてランドセルの中身を一緒に確認してた。

段取りの部分を、大人が肩代わりしてたわけです。

それが学年が上がるにつれて、するっと外れていく。

教科ごとに先生が変わって、

提出物の期限も自分で管理。

やることが増えるだけじゃなくて、

「何から手をつけるか自分で決める」場面が

一気に増えるんです。

「去年までは、ちゃんとできてたのに」

わたしも何度も思いました。

でもこれ、子どもが急に怠けはじめたんじゃなくて、

支えていた側が変わっただけなのかもしれません。

同じことを求めてるつもりで、

実は求めてる中身が変わってる。

……そう考えたら、ちょっとだけ肩の力が抜けました。

しんどいのは「続ける」ことより、「始める」こと

夜のリビングで、同じテーブルに並んで座り、子どもはドリル、母親は自分の本を読んでいる水彩イラスト

ここからが、今日いちばん書きたかったところです。

うちの子を見ていて思うんですけど、

しんどいのは続けることじゃないんです。

始めること。

机に向かうまでが本番。

いったん座っちゃえば、

案外そのまま30分くらい進んでたりする。

座るまでが遠いだけ。

で、この「始める」を助ける方法として、

こんな工夫があると言われています。

誰かが、ただ隣にいるだけ。

大事なのは、教えないこと。

見張らないこと。

丸つけしようと構えないこと。

親は同じテーブルで、自分のことをします。

わたしは家計簿を開いたり、

読みかけの本を開いたり。

子どもは子どもで、自分のドリルを開く。

会話もなし。

ただ同じ場所で、別々のことをしてるだけ。

……正直に言うと、期待してませんでした。

声もかけないのに何が変わるの、

って思ってたので。

でも、ひとりで机に向かわせてたときより、

明らかに始まるのが早かったんです。

なんででしょうね。

理屈はよくわかりません。

ただ、あの「よし座るか」までの重さだけは、

そばに誰かいると軽くなるみたいです。

「ちゃんとやったの?」より、うんと小さい一言

麦茶を2つのせたお盆を持って、宿題中の子どもに気軽に声をかけに来る母親の水彩イラスト

声のかけ方も、そのついでに変えてみました。

正面から大きく問いただすほど、

子どもって黙るんですよね。

「宿題やったの?」「なんでやらないの?」

——理由を聞いてるつもりなんですけど、

たぶん向こうには責められてる音で届いてる。

……いや、わたしだって言われたら黙ります。

だから代わりに置いてみたのが、

うんと小さいきっかけです。

「なんか飲む?」

「ついでに消しゴム持ってこよっか」

このくらい。

拍子抜けするくらい、どうでもいい一言。

そしたらですね、

「今日さ、算数のやつ、意味わかんなくて」って、

向こうから出てくることがあるんです。

大きな問いかけより、

小さなきっかけのほうが口を開きやすいと言われるのも、

なんかわかる気がしました。

それでも「今はダメ」って言わなきゃいけない場面はありますよ、もちろん。

そういうときは、

理由をひとことだけ添えるようにしてます。

同じ「ダメ」でも、着地が違う気がするので。

がんばりすぎて、気づかれない子もいる

反対のことも、書いておきたいです。

まわりに合わせようと必死に踏ん張って、

しんどさが表に出ないまま過ごしてる子もいるそうです。

宿題も提出物もきちんと出してて、

先生からも何も言われない。

だから誰も気づかない。

手がかからない子ほど、

「あの子は大丈夫」の枠に入れられちゃう。

困ってなさそうに見える子にも、

たまには小さく声をかけたいなあと、

最近は思うようになりました。

決めつけてたのは、わたしのほうだった

こうして並べてみると。

「怠けてる」って決めつけてたのは、

わたしのほうだったのかもしれません。

だからといって、

宿題が魔法みたいに終わるわけじゃないですよ。

今日もドリルは半分以上残ってます。

夏休み中に終わる気配、正直あんまりない。

それでも、

「なんでやらないの」って言う回数は、確実に減りました。

それだけでも、うちにとってはじゅうぶんな変化です。

今夜できることは、たったひとつでいいんだと思います。

同じテーブルに座って、自分のことをする。

それだけ。

みなさんのおうちでは、

宿題の時間、どんなふうに過ごしてますか?

※この記事は、わたし自身の体験と、見聞きした話をもとにした感想です。医療や教育の専門的な助言ではありません。お子さんの様子で気になることが続くときは、学校の先生やかかりつけのお医者さんなど、専門の方に気軽に相談してみてくださいね。