夕方の公園で、
下の子が派手に転びました。
ひざをすりむいて、
うわーんと泣きだして。
わたしは駆けよりながら、
いつものように言ったんです。
「大丈夫、大丈夫! たいしたことないよ」
……泣き声が、ひとまわり大きくなりました。
早く泣きやんでほしくて言ったのに。
なんで?
「大丈夫!」は、早く元気になってほしい気持ちから出る
子どもが「痛い」「こわい」「ずるい」と
言ってきたとき。
とっさに出る言葉って、
だいたい決まってませんか?
「大丈夫」「たいしたことないよ」「平気平気」。
わたしは、ほぼ口ぐせでした。
これって、
子どもに早くラクになってほしいからなんですよね。
泣いている顔を見るのがつらい。
早く笑顔に戻ってほしい。
まぎれもなく、
愛情から出てる言葉だと思います。
ただ、言われた子どもの側には、
「わかってもらえなかった」という気持ちが
残ることがある、と言われています。
「痛い」って言ってるのに、
「痛くない」って返されたら。
……たしかに、
大人でもちょっとさみしいかも。
じゃあ、代わりに何て言えばいいんだろう。
代わりに言ってみたのは「そっか、そう感じたんだね」
すすめられているのは、
「あなたの言うことを信じるよ」という
返し方だそうです。
信じる、といっても、
話の細かいところまで全部
「そのとおり」と認めることではなくて。
すぐに解決してあげることでもなくて。
子どもが「そう感じた」ことを、
本当のこととして受け取る。
それだけなんだとか。
そうしてもらえた子は、
自分の気持ちや感じ方を信じる力を、
少しずつ育てていくと言われています。
うちでも、手当てはいつもどおりしつつ、
言葉だけ変えてみました。
転んだときは「痛かったね」。
注射の日の朝、玄関でぐずる上の子には
「こわいよね。わかるよ」。
「お兄ちゃんだけずるい!」には
「ずるいって思ったんだね」。

正直、最初はむずがゆかったです。
わざとらしくないかな、って。
でも、注射の日の上の子は、
「こわいよね」のあと、
ちょっとだけ黙って。
それから自分で靴をはきました。
「大丈夫だから!」で押し切っていたころより、
玄関にいる時間は、
むしろ短かった気がします。
でも受け止めたら、わがままが止まらなくなりそうで怖い
ここで、たぶん多くの人が思うこと。
わたしも思いました。
「気持ちを受け止めたら、
わがままを全部のむことにならない?」
「ずるいよね」と言ったら、
「じゃあ僕にも買って!」が始まる。
「まだ遊びたいよね」と言ったら、
「あと5分」が、5分では終わらない。
受け止めたい。
でも、言いなりにはなりたくない。
かといって、突き放したくもない。
この板ばさみが、
いちばんしんどいんですよね。
やさしい子育てでつまずくのは、
やさしさそのものではなくて、
線引き(ここまではOK、ここからはダメ、というルール)が
抜けてしまうこと。
そんな見方があるそうです。
……これ、読んだとき、
ちょっとドキッとしました。
気持ちとルールは、別々の仕事だった
気持ちを受け止めることと、
ルールを守ること。
この2つは、
ぶつかり合うものじゃない。
親がやる「2つの別の仕事」で、
両方いっぺんにやっていい。
そういう考え方があると知って、
わたしの中で何かがほどけました。
うちでやっているのは、2段がまえです。
- 気持ちには「そうだよね、まだ遊びたいよね」
- 行動には「でも、帰る時間は変わらないよ」

夕焼けの公園の出口で、
足をふんばる下の子に、
しゃがんでこれを言う。
泣きます。けっこう泣きます。
でも、泣くこと自体は
止めなくていいんですよね。
悔しい気持ちは、
そのまま悔しがらせてあげる。
帰る時間だけは、変えない。
ちなみに、「でも」を「そして」に置き換えると、
やわらかく届くこともあるそうです。
「まだ遊びたいよね。そして、帰る時間だよ」。
うちの子には、
こっちのほうが通じやすい日がありました。
「なんで?」を「何があったの?」に変えてみる
もうひとつ、
わたしの口ぐせで見直したのが「なんで?」です。
「なんで言うこと聞かないの?」
「なんで片づけないの?」
これ、質問の形をしているけど、
子どもには責める言葉として
届きやすいと言われています。
小さいころから「なんで?」を
「叱られる合図」として聞いてきているから、
という説明もあるそうです。
言われてみれば、
「なんで?」と聞かれて、
子どもがまともに理由を答えてくれたこと……
ほぼないです。
わが家の冷蔵庫に貼っている、
言い換えメモを置いておきますね。
- 「大丈夫、たいしたことない」→「痛かったね」「びっくりしたね」
- 「泣かないの!」→「泣きたいくらい悔しかったんだね」
- 「なんでそんなことするの?」→「何があったの?」
- 「わがまま言わないの」→「欲しいよね。そして、今日は買わないよ」
全部を毎回なんて、わたしも無理です。
疲れている日は、
普通に「大丈夫!」が出ます。
3回に1回言えたら上出来。
それくらいで、いいと思っています。
今夜は「今日の“大丈夫”」をひとつ思い出してみる
きれいごとに聞こえるかもしれませんが。
あの公園の話には、続きがあって。
何週間かして、同じ公園で、
下の子がまた転んだんです。
今度は、ぐっとこらえて
「痛かったね」とだけ言いました。
少し泣いて、ひざをさすって。
それから自分で「もう平気」と言って、
すべり台のほうへ走っていきました。
……拍子ぬけするくらい、あっさりと。
あの子がほしかったのは、
治してもらうことより、
わかってもらうことだったのかもしれません。

だから、明日ひとつだけ。
1回でいいので、
「大丈夫」の代わりに「そっか」を言ってみる。
言えなかった日の自分も、
責めなくて大丈夫です。
……あ、これは大人向けの「大丈夫」なので、
許してくださいね。
みなさんのおうちの「つい出ちゃう口ぐせ」は、
どんな言葉ですか?
※この記事は個人の体験と感想で、医療的・心理的な助言ではありません。かんしゃくが強く長く続くときや、子育てのつらさが重いときは、ひとりで抱えず、身近な人や地域の子育て相談窓口などに相談してみてくださいね。
