「うちの子、運動より勉強を頑張らせたい」
「体を動かすよりも、机に向かってほしい」
そう思っているママも多いかもしれません。
でも実は――運動ができる子ほど、勉強もできるんです。
最新の研究で、「体を動かすこと」と「学ぶこと」はどちらも脳の働きと深く関係していることが明らかになっています。
勉強と運動はどちらも「脳の力」!
最近の子どもたちは、体を動かす機会が減り、転んでも手をつけなかったり、少し走るだけで疲れてしまうこともあるそうです。
「勉強は頭で覚えるもの、運動は体で覚えるもの」
そう考えている方も多いでしょう。
でも実は、運動も脳でコントロールしているのです。
脳から体に「動け!」と指令を出しているわけですから、体を動かすことは“脳のトレーニング”でもあります。
つまり、「運動することで脳が鍛えられ、勉強もできるようになる」ということ。
勉強と運動は対立するものではなく、お互いを高め合う関係なのです。
運動と学力の関係を示す研究
アメリカ・イリノイ大学のチャールズ・ヒルマン博士が、小学3年生と5年生約250人を対象に行った研究では、体力と学力の関係がはっきり示されました。
実験では、「シャトルラン(持久走)」や「腹筋」などの体力測定と、算数・国語(Reading)テストの点数を比較しました。
結果は驚くべきもので、体力のある子どもほど学力も高いという明確な相関関係があったのです。
特に、筋力よりも「持久力(有酸素運動能力)」が高い子どもほど、集中力や理解力、記憶力に優れていることが分かりました。
つまり、「走る」「なわとびをする」「外で思いきり遊ぶ」といった運動が、脳を刺激して学習能力を高めているのです。
カリフォルニア州でも同じ結果に!
さらに、アメリカ・カリフォルニア州で行われた大規模な調査では、
100万人以上の小中学生を対象に体力テストと学力テストの結果を比較しました。
その結果、どの学年でも「体力の高い子どもほど成績も良い」という傾向が見られました。
逆に、肥満度が高い子どもは学力が低下する傾向があることも確認されています。
これらの研究から、運動が単なる体づくりではなく、脳の働きを活性化させる大切な要素であることがわかります。
◆ 体育の時間を増やすと成績が上がる?
ヒルマン博士の研究結果を受けて、アメリカのテキサス州では2007年に法律を改正し、幼稚園から小学5年生までの子どもに毎日30分の体育を義務づけました。
さらに、イリノイ州では国語が苦手な子どもに「授業の前に体育を行う」取り組みも導入。
運動したあとに勉強をすると、集中力や記憶力が高まり、学習効率がアップするというのです。
実際に、日本の子どもでも「朝に軽い運動をした日は集中できる」という声は多く聞かれます。
つまり、“運動で頭が良くなる”のは本当の話なのです。

欧米では「文武両道」が常識
アメリカの名門大学「ハーバード大学」「イェール大学」「プリンストン大学」などが加盟する“アイビーリーグ”では、勉強と運動の両立が当たり前。
北京オリンピックには、これらの大学から47人もの学生が出場しています。
アメリカの大学スポーツは「勉強していないと試合に出られない」ルールがあるほどで、成績が悪い選手は大会に出場できません。
スポーツも勉強も本気で取り組むことが、一人の人間としての成長につながると考えられています。
一方で日本は「運動が得意な子」と「勉強が得意な子」が分かれてしまいがち。
けれども本当は、両方を育てることで脳も体もバランスよく成長するのです。
親子で体を動かして、脳も心も元気に!
「運動神経を良くしたい」と思ったら、特別なことをする必要はありません。
公園で一緒に鬼ごっこをしたり、家の中でちょっとしたストレッチをしたり、日常の中に“動く時間”を取り入れるだけで十分。
子どもは体を動かすことで脳が活性化し、ママもリフレッシュできます。
親子で笑いながら体を動かす時間は、心と脳の栄養になるのです。
まとめ
• 運動は「脳を育てる」最高の学習法
• 有酸素運動をすると集中力・記憶力・理解力がアップ
• 勉強前に軽く体を動かすだけでも効果あり
• 親子で一緒に動くことで、心も脳も健康に

【参考文献】
- 「運脳神経」のつくり方」深代千之
- イリノイ大学 チャールズ・ヒルマン博士による研究(運動能力と学力の関係調査)
- カリフォルニア州 教育局による体力・学力関連調査
