子育てをしていると、思わず感情的になってしまう場面ってありますよね。
- 何度言っても片づけない
- ちょっとしたことでグズる
- 理屈が通じないときにイライラしてしまう
でも、そんな「イライラ」には、実は意外な“根っこ”があることをご存じですか?
イライラの原因は、子どもではなく「自分の過去」
たとえば——
子どもが学校を休みたいと言ったとき、つい「甘えるな!」「がんばりなさい!」と反射的に怒ってしまうことがあります。
でもその怒り、冷静になって考えてみると「今の状況」に対するものではなく、
実はこんな感情が隠れていたりします。
「私の子ども時代は、つらくても絶対に休んではいけなかった」
「親に我慢しろと言われ続けて育った」
「それを乗り越えた自分がいるのに、なぜこの子は…」
つまり、「自分の過去の経験」が、無意識に子どもへの反応に影響しているのです。
それはまるで、自分が子どもだった頃に積み重ねてきた「心の遺産」が、今になって“顔”を出してくるようなものです。
「過去の私」が、今の子どもを叱っている
育児で感情的になるとき、よくよく見つめ直してみると——
怒っているのは「親としての私」ではなく、「かつての小さな私」だったということがあります。
例えば:
- わがままを言う子どもに腹が立つ → 昔、わがままを許されなかった自分がうらやましい
- 人前でふざける子どもが恥ずかしい → 昔、自分は「恥をかくな」と言われ続けて育った
- 勉強をさぼる子どもに苛立つ → 自分は「頑張って当たり前」と思い込んでいた
こうした感情は、過去に自分が押し込めてきた思いや傷ついた記憶が、“未処理のまま”今の育児に浮上してくることによって生まれます。
親になるということは、もう一度「自分の子ども時代」と向き合うこと
私たちが子どもを育てているように見えて、実は——
子どもを通して「過去の自分自身」とも向き合っているのかもしれません。
子育ては、自分がかつて受けた育児の影響を「無意識に再演してしまう」場でもあります。
でも、それに気づくことができれば、「反射的な怒り」を「意識的な対話」に変えていくことができます。

どうすればいい?──感情が動いたときに立ち止まる
イライラしたとき、こんな問いかけを自分にしてみてください。
- 「今のこの怒りは、子どもの行動に対してなのか?」
- 「それとも、自分の過去の体験が反応しているのか?」
感情の“出どころ”を見極めることができれば、少しだけ心が落ち着きます。
怒りを飲み込む必要はありません。でも、「なぜこんなに反応してしまったのか」に目を向けることで、
自分自身への理解が深まり、子どもへの対応にも余裕が生まれます。
おわりに:感情の正体を知れば、子育ては少し楽になる
子育ては「今の子どもと向き合うこと」の連続です。
でもそこに、「過去の自分」が無意識に登場してくることがある。
そのことを知っているだけで、自分を責めすぎずに済むようになります。
「イライラしてしまった…」と落ち込むのではなく、
「これは昔の自分の声かもしれないな」と一歩引いて見てみる。
そんな視点を持つことが、心を少しやわらかくしてくれるのです。

【参考文献】
『自分の親に読んでほしかった本』フィリッパ・ペリー 著