子どもに食べさせても大丈夫?――“その一杯”に潜む見えないリスク
「たまにならいいよね?」
「忙しい日は仕方ないよね?」
――その一杯、本当に子どもの身体に安心ですか?
インスタントラーメンは“魔法のごはん”?
インスタントラーメン――お湯を注ぐだけ、たった3分で完成するお手軽な一品。小腹がすいたとき、夕飯づくりに間に合わなかった日、子どもが「ラーメン食べたい!」とねだったとき。私たちママにとっては、救世主のような存在かもしれません。
でも、その便利さの裏側にある“真実”を、あなたは知っていますか?
カップ麺の油、その約3割が“見えない脂肪”
まず、インスタントラーメンの多くは、「揚げ麺」です。これは、保存性を高めるために、麺を油で揚げて乾燥させたもの。
この時に使用されるのは、安価で酸化しにくい「硬化油」。実はこれ、トランス脂肪酸を多く含むとされる危険な油なのです。
- トランス脂肪酸は、心疾患リスクを高めることが国際的に証明され、
- アメリカ、カナダ、EUでは使用が禁止。使用すると犯罪になります。
- アジアでも規制や表示義務が進んでいます。
- 日本だけが規制なし。市販のカップ麺やスナック菓子には普通に使われています。
つまり――世界基準では「禁止」されている油を、日本の子どもたちは毎日口にしているということになります。

スープの正体は「白い粉」だけでできている
「本格とんこつ味!」「スパイス香る濃厚醤油スープ!」……なんて書いてあると、つい美味しそうに見えてしまうインスタントラーメンのスープ。
でも、あの風味や旨味は、天然の食材からつくられたものではありません。
講演などで食品の専門家が実演しているのですが、
たった十数種類の白い粉だけで、とんこつ風のスープが完成してしまう。
しかもその正体は、
- 化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)(化学調味料の記事はこちら)
- たんぱく加水分解物(塩酸で分解したアミノ酸)
- 香料・着色料・酸味料・pH調整剤・甘味料…
…など、添加物のフルコースとも言える組成。
お湯に溶かして飲んでいるのは、塩・糖・脂質・添加物の混合液なのです。
味覚を狂わせるインスタント食品
インスタントラーメンを食べ慣れると、子どもたちは自然な食材の味に興味を示さなくなります。
たとえば、スープの塩分量は海水(約3%)を超えることもあります。それなのに、「しょっぱい」と感じないのはなぜ?
それは添加物の働きによって、“塩分をごまかしてマイルドに感じさせている”から。
結果として…
- 子どもが濃い味じゃないと満足できなくなる
- 舌が麻痺して、素材本来の味を「物足りない」と感じる
- 食べる量が増え、肥満や生活習慣病のリスクも高まる

カップ麺の“あの粉末スープ”が子どもの脳に与える影響
すでに小学生の約40%が糖・脂質の過剰摂取傾向にあり、高校生では「生活習慣病予備軍」とされる子どもが増加しています。
さらに、教育現場ではこんな声も。
「給食を見直したら、非行が減り、集中力が増した」
「スナック菓子やカップ麺を減らすと、落ち着きのない子が変わった」
もちろん、全ての原因がインスタント食品とは言い切れません。
でも――食べものが子どもに与える影響は、決して小さくないということだけは、事実です。
“やめられない”インスタントラーメン、その理由
- 安くて手軽
- 子どもが喜ぶ
- ストックがきいて便利
わかります。私たちママにとって、これほどありがたい存在はありません。
でも、それ以上に大切なことがあります。
それは、その一杯が、子どもの未来に何をもたらすのかという視点です。

今日からできる、ほんの少しの工夫
インスタントラーメンを「完全にやめよう」と思わなくても大丈夫です。
大切なのは、“置き換える選択肢”を持つこと。
例えば…
- 週末は出汁から作るうどんを
- ラーメンのスープは半分残す癖をつける
- 乾麺タイプの無添加ラーメンを探してみる
- 出汁パックや手作りスープを冷凍しておく
- 子どもと一緒に「具だくさんみそ汁」を作る
あなたの「小さな一歩」が、未来を変えます。
まとめ|「その一杯」は、未来の健康と引き換えにしていいのか?
「忙しい日のお助けアイテム」だからこそ、インスタントラーメンには注意が必要です。
- 高脂肪・高塩分・高添加物
- 舌を狂わせ、感覚をマヒさせる
- 健康をじわじわとむしばむ可能性がある
だからこそ、食卓の“主役”にしない。
子どもの身体と心をつくるのは、「ママの選択」です。
“手間”が“愛情”として、子どもの心に残る――
そんな食事を、私たちは選んでいきたいですね。
「食べることは、生きること。」
今日のその一杯が、未来の笑顔をつくります。

【参考文献】
- 『食品の裏側』安部司(東洋経済新報社)
- 『安部ごはん』安部司(講談社)
- パリ第13大学/2018年発表論文「Ultra-processed food intake and risk of cancer」
- 厚生労働省「食品添加物の表示制度について」
- 長野県真田町の中学校給食改革事例(大塚貢校長)
- 国立がん研究センター 生活習慣病に関する追跡調査