最近、食べるのがとても早いお子さん、いませんか?
実はその「早食い」、将来の健康や成長に大きく関わってくるんです。
かむことは、命を守り、健康をつくる
「よくかんで食べなさい」と昔から言われてきたのには、しっかりとした理由があります。
まず、かむことで窒息事故を防ぐことができます。のどに詰まりそうな食べ物でも、よくかめば飲み込みやすくなります。これは命を守る行動そのもの。
さらに、唾液がたくさん出ることで消化を助け、腸内環境が整い、栄養の吸収も良くなるというメリットがあります。唾液には殺菌作用もあり、むし歯予防にも効果的。
かむことで満腹中枢が刺激され、食べすぎ防止や肥満予防にもつながります。
そして何よりも注目したいのは、脳の働きにまで影響することです。あごを動かすことで脳が刺激され、記憶力や集中力を高める効果があることがわかっています。セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質も分泌され、心の安定にもつながります。

「かむ力」は親が育てるもの
かむ力は自然には身につきません。離乳食の時期から、「この子の今のかたさにはどんな食事が合うのか?」を意識して、少しずつ練習していく必要があります。
乳歯が生えそろっても、永久歯へと変わる時期(6〜12歳ごろ)に、あごの発達は続きます。やわらかすぎてかまない食事や、かたすぎて丸飲みしてしまうような食事は避け、その子に合った硬さを調整してあげましょう。
また、早食いを直すには、親の根気が必要です。
- 「ゆっくりかんでね」
- 「口に入れるのは一口分だけ」
- 「食事中は席を立たない」
こうした声かけを毎日の中でくり返し伝えていくことで、子どもにとっての「正しい食べ方」が身についていきます。
食べることを楽しもう!
食べる意欲があれば、子どもは自然にかむようになります。家族や友だちと楽しく食卓を囲むことは、苦手な食材にチャレンジするきっかけにもなり、かむ練習にもぴったり。
上手に食べられたら、たくさんほめてくださいね。
「お口の中でカミカミできたね!」と声をかけてあげるだけで、自信につながります。
覚えよう!かむ効用「卑弥呼の歯がいーぜ」
昔から伝えられている合言葉です。
- ひ:肥満予防
- み:味覚の発達
- こ:言葉の発音がきれいに
- の:脳の発達
- は:歯の健康
- が:◯ん予防(唾液による)
- い:胃腸の働きを助ける
- ぜ:全力投球!集中力アップ
今日の夕食から、家族でゆっくり「カミカミタイム」を楽しんでみてはいかがでしょうか?

【参考文献】
- 厚生労働省「子どもの食育」
- 日本咀嚼学会「よくかむことの効用」
- 公益社団法人 日本歯科医師会「8020運動とあごの発達」