子どもが「おやつまだ?」と聞いてくる時間、ついついチョコやクッキーをあげたくなること、ありますよね。でも実はそれ、体の中で“ジェットコースター”のような変化を引き起こしているかもしれません。

血糖値スパイクって何?

甘いものを食べると、一時的に血糖値が急上昇します。たとえば、血糖値が120mg/dLだった人がチョコを食べると、250〜260mg/dLまで一気に上がることがあります。

すると体は「これは大変!」と、インスリンというホルモンを大量に出して血糖値を一気に下げます。でも、その反動で今度は50〜60mg/dLくらいまでドーンと下がってしまうんです。

この“急上昇と急降下”が「血糖値スパイク」です。

実はインスリンは“唯一”の血糖値を下げるホルモン

ここで知っておきたい大切なことがあります。

実は、血糖値を下げるホルモンはインスリンしか存在しません
それに対して、血糖値を上げるホルモンはたくさんあります。

たとえば——
・アドレナリン(怒りや緊張時)
・ノルアドレナリン(ストレスや不安時)
・成長ホルモン(体をつくるためにブドウ糖が必要)
・メラトニン(眠気の調整)など

このことからもわかるように、人間の体は「血糖値が低い状態」が前提なのです。自然界では、空腹状態が当たり前。糖を急に大量に摂る環境は、もともと存在しません。

つまり、インスリンが大量に出る状況自体が不自然な“緊急モード”なのです。

気分の乱れ、実はホルモンのせい?

血糖値が下がりすぎると、「元に戻さなきゃ!」と、今度はグルカゴンコルチゾールといったホルモンが分泌されます。

しかしこれらのホルモンは、イライラ・不安・無気力といった気分の乱れを引き起こすことがあります。

そしてその気持ちを落ち着かせようとして、また甘いものが欲しくなる…
これが「甘いもの依存」のはじまりです。

血糖値の乱高下が続くと…

・気持ちの浮き沈みが激しくなる
・集中力が下がる
・免疫力が落ちる

さらに深刻なのは、血糖値の乱高下を繰り返している人は、がんのリスクが高まる可能性があることです。

なぜなら、体は急激な低血糖を補うために、筋肉や内臓、脂肪を壊して糖を作る(糖新生)という“自傷行為”を行います。その過程で生じるアンモニアやケトン体といった物質には、発がん性があることも指摘されているのです。

ママにできること

甘いものをゼロにする必要はありません。でも、たとえば——

・おやつはフルーツやナッツに変えてみる
・食後に甘いものをとる(空腹時は避ける)
・血糖値をゆっくり上げる食材を意識する(玄米、全粒粉パンなど)

子どもたちの笑顔と健康のために、“ちょっとした工夫”を日々の食事に取り入れていきましょう。

【参考文献】

  • 日本糖尿病学会『糖尿病治療ガイド2024』
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「血糖値スパイク」
  • 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「インスリンと血糖値の関係」
  • 『“砂糖依存”が心と体に与える影響』NHKためしてガッテン 特集より