腸内細菌を第一に考える
私たちの腸には数十兆個もの細菌が住んでいます。これらの腸内細菌は、食べ物の分解だけでなく、免疫力や代謝、炎症のコントロールにまで関わっています。
つまり「何を食べるか」ではなく「腸内細菌に届くかどうか」が、家族の健康を大きく左右するのです。
基本の考え方は2つです。
- 不自然な食品を避ける(精製しすぎた砂糖・白米・添加物など)
- 栄養を体全体に巡らせる(血糖の急上昇を防ぎ、腸内細菌に栄養を届ける)
腸内細菌は“残り物処理班”ではなく、大切な共生パートナー。まずは「細菌が喜ぶかどうか」で食事を見直しましょう。
炭水化物の選び方がポイント
炭水化物は大きく3つに分かれます。
- 甘い糖(砂糖・清涼飲料・お菓子)
→ 小腸で吸収され、大腸には届きません。腸内細菌のエサにならず、血糖スパイクや糖尿病リスクを高めます。
※最小限に抑えるのが正解。 - デンプン(お米・パン・芋など)
→ 精製度によって差が出ます。
白米や小麦粉はすぐに吸収され、腸に届きません。
反対に、玄米・雑穀・豆・さつま芋は消化がゆっくりで腸の奥まで届きます。冷やご飯や冷めた芋には「レジスタントスターチ」ができ、腸内細菌のごちそうに。 - 食物繊維(野菜・海藻・豆類・きのこなど)
→ 人は消化できませんが、腸内細菌が分解して短鎖脂肪酸を作ります。これが腸のエネルギー源になり、免疫力を整えてくれます。
結論:腸に届く食べ物こそ、腸内細菌を育てるカギ。
和食が腸にやさしい理由
「ご飯+味噌汁+漬物」は、実は腸に理想的な食事です。
- ご飯:玄米や雑穀入りなら腸に届きやすい。
- 味噌汁:発酵食品と野菜の食物繊維を一度に摂れる。
- 漬物:乳酸菌と繊維がセット。
さらに「孫は優しい」の合言葉(豆・ごま・わかめ・野菜・魚・しいたけ・いも)を意識すれば、腸内細菌が喜ぶ食卓に近づきます。

肉や乳製品との付き合い方
お肉や乳製品を中心にすると、腸内の悪玉菌が増えやすくなり、便のにおいも強くなります。
特に日本人は長い歴史の中で肉食が少なかったため、大量の肉を消化するのが得意ではありません。
完全に避ける必要はありませんが、量を減らし、魚や豆を中心にした方が腸にも環境にもやさしい暮らしになります。
子育て家庭でできる工夫
- 主食は白米だけでなく、雑穀や玄米を取り入れる。
- ご飯は冷やしておにぎりにすれば、レジスタントスターチが増える。
- 味噌汁は旬の野菜を入れて毎日の定番に。
- おやつは果物や芋類を選び、甘い飲み物やお菓子は少なめに。
- 漬物や納豆など、手軽な発酵食品を常備する。
これらは難しいルールではなく、家族が続けやすい習慣に変えていくことが大切です。
まとめ
ヨーグルトや納豆だけを食べるのが「腸活」ではありません。
本当に大事なのは「主食から副菜まで、日々の食事を腸内細菌目線で整えること」。
子どもの健康はもちろん、家族みんなの未来につながる“本当の腸活”を、今日から意識してみましょう。

【参考文献】
- 本間真二郎『発酵食品=腸活」は時代遅れ!?全日本人がやるべき『本当の腸活』』七合診療所 所長 解説