子育てをしていると、つい子どもに「なんでそんなことするの!」「いい加減にして!」と怒ってしまう瞬間、ありますよね。
でもアドラー心理学では、この怒りは“二次感情”だと考えます。つまり、怒りは本当の感情ではなく、その奥にある別の気持ちを隠していることが多いのです。
怒りは防御のサイン
アドラー心理学でいう「二次感情」とは、一次感情のあとに生まれる感情のことです。
一次感情は、出来事が起きた瞬間に湧く素直な感情。例えば「悲しい」「不安」「寂しい」「恥ずかしい」などがそれにあたります。
しかし、これらの感情は人に見せるのが怖かったり、自分でも受け入れづらい場合があります。そんなとき、人はより強くて相手を遠ざけられる「怒り」に置き換えることがあるのです。
子育てでよくある例
- 子どもが門限を破って帰宅したとき
- 本当の感情(一次感情):心配、不安、安堵
- 表に出た感情(二次感情):怒り(「何やってたの!」)
- おもちゃを片付けないとき
- 本当の感情(一次感情):疲れている、家事が進まない焦り
- 表に出た感情(二次感情):苛立ち、怒り
怒りの奥を探ると関係が変わる
もし怒りが出てきたら、まず「この怒りの奥にはどんな気持ちがあるのかな?」と自分に問いかけてみてください。
「心配だったんだな」「もっと協力してほしかったんだな」と気づけると、子どもへの言葉も変わります。
例えば「なんで遅いの!」ではなく、「帰りが遅いとママは心配になるよ」と伝えれば、子どもは責められたと感じず、素直に話してくれることが増えます。

怒りをやさしい言葉に変えるコツ
- 怒りを感じたら深呼吸して3秒待つ
- 「私は◯◯だった」と自分の一次感情を探す
- その一次感情を子どもにやさしく伝える
こうすることで、怒りに振り回されず、親子の会話が落ち着いたものになっていきます。
まとめ
怒りは悪いものではありません。でも、怒りは多くの場合、心の奥の「本当の気持ち」を隠しています。
アドラー心理学をヒントに、その奥にある一次感情を見つけてみると、子育て中のイライラが減り、親子関係がもっとあたたかいものになります。

【参考文献】
- アルフレッド・アドラー著『人生に革命が起きる100の言葉』
- 岸見一郎著『嫌われる勇気』