「努力すれば何にでもなれる」は本当?
子どもに「頑張れば夢は叶うよ」と声をかけたくなるのが親心。でも、成長するにつれて「頑張っているのに結果が出ない…」ということも増えてきます。
実はこれ、「本人の努力が足りない」からではないかもしれません。
最近の研究では、勉強や運動、やる気や性格までもが、生まれつきの『遺伝』の影響を大きく受けているとわかってきました。
「モテる」「やる気がある」も、遺伝で決まる?
たとえば、以下のようなことに対しても遺伝の影響がかなりあります:
- 認知能力(頭の良さ):約55%
- やる気:約57%
- 学歴:約50%
- 肥満・モテる・犯罪傾向:30〜60%
つまり、「できる子」「頑張れる子」は、ある程度は“生まれつき”。
「頑張れない」のは本人のせいではなく、才能の違いかもしれないのです。
親の影響より「友だち」や「経験」が大事?
環境の影響もありますが、実は「親のしつけや教育」は意外と影響が少ないとされています。
もっとも大きく子どもに影響を与えるのは、「非共有環境」――つまり、
- どんな友だちとつきあうか
- どんな部活に入るか
- SNSでどんな情報に触れるか
など、「本人だけの体験」なんです。
だからこそ、「勉強しなさい」よりも「どんな人と時間を過ごすか」に目を向けることが大切です。
成長とともに「遺伝の力」が強まる?
小さい頃は習い事や親の関わりで伸びていた力も、中学・高校になると“地の力”が出てきます。
「小学生の時は優秀だったのに…」と感じたら、それは成長によって遺伝の傾向が表れてきたのかもしれません。
無理に「昔のように頑張って」と言うより、新しい“得意”を見つける機会にすることが大切です。

子どもの“得意”はどこにある?
大事なのは、「得意なこと」を伸ばすこと。
- 興味を持ったことを応援する
- 「何してる時が楽しい?」と聞いてみる
- 本人が心地よくいられる環境を探す
それが、子どもにとって一番自然な成長の道になります。
「普通じゃない」って、最高の才能かも
今はネットやSNSで、どんな趣味でも仕事になる時代です。
- カブトムシに夢中
- 一人で静かに遊ぶのが好き
- ちょっと変わったことが得意
そんな子ほど、大人になってから輝く可能性があるんです。
「変わってるね」は、「あなたにしかない強みかもね」に言いかえてみてください。
遺伝を受け入れると、子育てが楽になる
「頑張らせなきゃ」と思うと、どうしても力が入ってしまいますよね。
でも、生まれ持った特性を受け入れると、子育ても少し楽になります。
子どもも、親も、自分の“素材”を活かせる生き方を見つけていけたら素敵です。

【参考文献】
『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」』橘 玲 / 安藤 寿康(NHK出版新書)