骨の一生は、思春期で決まる!

骨は毎日少しずつ作り替えられていますが、一生の中で一番骨が増える時期は、実は小学校高学年〜高校生の「思春期」です。

骨の量(骨量)は

  • 女子:12~14歳ごろ
  • 男子:14~16歳ごろ

に作るスピードがピークに達します。

この時期を過ぎると、どんなに頑張っても骨量を大きく増やすことはできません

つまり、思春期の過ごし方が、老後の骨折リスクまでも左右するのです。

骨量のピークは20歳!その後は減る一方

骨量は20歳前後で最大に達し、その後は

  • 40歳くらいまでは横ばい
  • 45歳以降は年々減少していきます。

特に女性は閉経後に急激に骨量が落ちるため、男性の3~4倍も骨粗しょう症になりやすいのが現実です。

思春期の無理なダイエットは大敵!

体重を落としすぎると、骨を作るための栄養素が不足し、骨密度が低いまま大人になってしまいます。

これが、将来の骨折や寝たきりリスクに直結します。

「骨端線」が閉じる前に!身長をぐんと伸ばす

子どもの骨には、「骨端線(こったんせん)」という、成長のための特別な軟骨があります。

この骨端線が成長することで、骨が縦に伸び、身長も伸びます。

しかし、骨端線は

• 女子:15~16歳ごろ

• 男子:17~18歳ごろ

に閉じてしまいます。

閉じると、それ以上大きく身長は伸びません。

だからこそ、思春期前後の食事・運動・睡眠を大切にすることが、最終身長にも大きく関わってくるのです。

骨を強く・伸ばす「栄養」のポイント

骨を伸ばし、密度を高めるために大切な栄養素は次のとおりです。

1. たんぱく質

骨のコラーゲンの土台を作ります。

→ 肉・魚・卵・大豆製品からしっかり補給!

2. カルシウム

骨を硬く丈夫にします。

→ しらす干し、煮干し、ひじき、高野豆腐、小松菜など

3. ビタミンD

カルシウムの吸収を助け、骨の形成を促進します。

→ 鮭、しらす干し、きのこ類、日光浴も大事!

4. DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)

近年、骨の密度を高める効果が注目されています。

→ 鮭、さんま、いわし、しらす干し

5. マグネシウム

カルシウムとバランスを取りながら、骨の代謝をサポートします。

→ ナッツ類、豆類、海藻類

特に注目したいのが、近年わかった「DHA・EPAと骨密度」の関係。

これらの脂肪酸が腸骨(骨盤の骨)の密度を高める働きがあるとわかってきました。

【鮭】【しらす干し】は、これらをバランスよく含んでいるので、成長期に積極的に食べたい食材です!

骨を育てるための「運動」と「睡眠」

【運動】

骨は「負荷(刺激)」を受けることで強くなります。

日本の研究では、

  • 男の子→運動系の習い事(サッカー、野球、バスケなど)
  • 女の子→日常の中での運動習慣(外遊び、縄跳び、ランニングなど)

が骨の強さを高めるとわかっています。

ポイントは「全身運動」です。

ジャンプや走る動きが、骨にしっかり刺激を与えます。

【睡眠】

骨の成長に欠かせない成長ホルモンは、主に「深い睡眠(ノンレム睡眠)」中に分泌されます。

「骨密度が高い子ども」は、

  • 22時までに寝ている傾向がある
  • 睡眠時間が7時間以上ある

という研究報告も!

寝る子は育つは科学的にも正しいのです。

【まとめ】「今しかできない骨貯金」を親が応援しよう!

  • 骨を強くできるのは思春期まで
  • 栄養、運動、睡眠の3本柱をしっかり整える
  • 無理なダイエットは絶対に避ける
  • 外遊び・全身運動を生活に取り入れる
  • 早寝早起きを習慣にする
  • 思春期の「骨のゴールデンタイム」を逃さず、一生折れにくい、しなやかな骨を育ててあげましょう!

【参考文献】

  • 日本骨代謝学会「骨粗鬆症予防と治療ガイドライン」
  • 国立成育医療研究センター「子どもの骨密度に関する調査」
  • 文部科学省「食生活と成長に関する調査」
  • 日本臨床栄養学会「DHA・EPAと骨形成促進効果」
  • J Bone Miner Res(国際骨代謝研究誌)最新号