あなたの子どもは、今なにを食べていますか?
日々の家事、育児、仕事。子育てママにとって、毎日のごはんづくりは時に戦いです。だからこそ、ついつい手軽で便利なものに頼ってしまう。冷凍食品、菓子パン、レトルトおかず、スナック菓子、清涼飲料水――これらの“超加工食品”は、忙しい私たちの味方に見えるかもしれません。
でも、その便利さの裏に、見えないリスクが潜んでいるとしたら……あなたはどうしますか?
「食べること」は「生きること」。子どもを守るのはママの“選ぶ力”
2018年、パリ第13大学の研究で発表された衝撃的な事実があります。
超加工食品の摂取が10%増えると、がんのリスクが12%上昇する。
これは大人の話だけではありません。今、日本では高校生の4割以上が生活習慣病予備軍と言われ、幼児の肥満も急増しています。
実はその多くが、菓子パンやファストフード、お弁当用の冷凍おかずやコンビニ弁当、清涼飲料水など、日常にあふれる超加工食品が原因だと指摘されているのです。

添加物は「見えない毒」。その“味”は子どもの舌と心をむしばむ
市販の冷凍おかず、だしの素、ジュースに含まれる食品添加物やたんぱく加水分解物、人工甘味料、香料、酸味料……。
これらは見た目も味も「美味しい」と思わせます。でも、それは子どもたちの舌の感覚を狂わせる力を持っています。
たとえば、500mlのジュース1本に含まれる糖分は、およそ角砂糖14個分。そのままでは甘すぎて飲めなくても、添加物で“飲みやすい甘さ”に変えられてしまうのです。
子どもが「甘い」「しょっぱい」を感じなくなる。だからもっと欲しがる。食べすぎる。そして、太る。落ち着かない。キレやすい……。
それは決して、子どものせいではありません。
「だし」は“舌の基礎”をつくる。まずは「本物の味」を教えてあげて
お味噌汁に入れる「だしの素」。一見、家庭的で安心な食品に思えますが、多くには「食塩」「化学調味料」「たんぱく加水分解物」の“黄金トリオ”が含まれています。
知らず知らずのうちに、家庭料理さえも超加工食品と同じ味覚構造になってしまっているのです。
味覚が育つ幼少期にこそ、「本物のだし」「素材の味」に触れさせてあげてほしい。だしを引く時間がなければ、無添加の素材100%のだしパックでも構いません。大切なのは、親が「選んでいる」という意識です。

食卓を変えれば、子どもは変わる。長野の中学校で起きた奇跡
長野県のある中学校では、給食の内容を和食中心に変えたところ、わずか1年で非行や不登校が激減し、学力まで向上したという事例があります。
給食に使われたのは、地元の無農薬野菜と、国産の魚や肉。週に数回の「本物の和食」で、子どもたちの心と身体に、確かな変化が表れたのです。
忙しくても大丈夫。すべてを「手作り」にしなくていい
「わかってる。でも毎日全部手作りは無理……」
そんなママの声が聞こえてきます。わかります、私もそうでした。
でも大事なのは、“完璧”を目指すことではなく、“意識を変えること”。
✔ 添加物の少ない商品を選ぶ
✔ 「だしの素」ではなく、本物のだしパックに変えてみる
✔ ジュースの代わりに麦茶や白湯を常備する
✔ スナック菓子の代わりに、焼き芋や果物をおやつにする
ほんの小さな一歩からでいいんです。「ママが気にしてくれている」、それだけで子どもは変わっていきます。

「いただきます」は命をいただくこと――食の意味を、もう一度考える
食べものは、「栄養」だけではありません。
命をいただくこと。
誰かがつくってくれたこと。
その食事が、自分の身体と心をつくっていくこと。
こうした「食のありがたさ」を、ママの背中で伝えていきましょう。
料理が苦手でも、手抜きしても、いいんです。
一生懸命ごはんを用意するママの姿こそ、“最高の教育”なのですから。
まとめ|子どもの未来は、今日の一口でつくられる
“あなたは、あなたが食べたものでできている”
この言葉を、もう一度胸に刻みましょう。
添加物にマヒした舌も、親の選択で取り戻せます。
「食べものを変えれば、子どもが変わる」――それは、事実です。
大切な我が子の未来のために。
まずは「だし」ひとつ、「おやつ」ひとつから、選び直してみませんか?
大切な子どもたちに、ほんとうの“おいしさ”を。
あなたの「選ぶ力」が、子どもを未来につなぎます。

【参考文献】
食がもたらす病(ダイレクト出版)
『食品の裏側』 安部司(東洋経済新報社)
『「安心な食品」の見分け方』 安部司(東洋経済新報社)
『安部ごはん』 安部司(講談社)
パリ第13大学/2018年発表 論文「Ultra-processed food intake and risk of cancer」
NOVA分類(ブラジル・サンパウロ大学)
厚生労働省「食品添加物の一括名表示制度」
長野県真田町 中学校給食改革事例(大塚貢校長)