はじめに|その“教育熱心”が、逆効果かもしれません
「うちの子には将来困らないように、少しでも早く…」
そんな想いから、フラッシュカードや右脳教育、速読などの早期英才教育に興味を持つママも多いかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
それ、本当に子どもの成長に役立っているでしょうか?
早期英才教育の落とし穴|“できる子”に見えて、心が育たない?
一見、「すごい!」「賢い!」と見える子でも、実は感情が動いていないことがあります。
たとえば、フラッシュカードや右脳教育などの訓練では、反射的な答えは出せても、“わかる喜び”や“発見の楽しさ”が育ちません。
それが続くと、次のような状態に…。
• 本を読んでも登場人物の気持ちがわからない
• 楽しそうな遊びにも反応が薄い
• 「なるほど!」と納得する体験が少なくなる
子どもの学びは、「できること」だけでなく、「感じる心」が土台です。
それがなければ、どんな知識も積み上がっていきません。

“カン”で解く子になる?考える力を奪う早期教育
早期英才教育のもう一つの弊害は、考える力が育ちにくいことです。
直感に頼る学習ばかりをしていると、小学校高学年で出てくる発展的な問題にも「なんとなく」で解こうとしがちになります。
• 文章問題をちゃんと読まない
• 意味を取り違えてしまう
• 問題文を深く理解する力が育たない
特に国語と算数ではこの差が大きく出ます。
読解力や論理的思考は、一朝一夕では育ちません。
速読って本当に必要?“読む力”と“想像力”を失うリスク
小学生向けの速読教室も増えていますが、多くの専門家は否定的です。
速読は目の動きを速くする訓練であり、本を深く理解し、楽しむための読書とはかけ離れたものです。
速読をしている子は
• 国語の成績が下がる
• 読書を楽しめなくなる
• 算数の文章題も苦手になる
読書は、“物語の世界に入りこみ、情景を思い浮かべ、心を動かす”体験です。
速く読むことより、「どう感じたか」を大切にしてあげたいですね。
まとめ|一番の“英才教育”は、家庭での会話と安心感
早期教育に走るよりも、まずは家でたくさん話すこと、安心できる環境を整えることが、子どもの健やかな成長には何より大切です。
• 「なんでそう思ったの?」
• 「それ、面白いね!」
そんな一言が、子どもの考える力・感じる力・生きる力を育ててくれます。

【参考文献】
- 『中学受験は親が9割』(西村則康/青春出版社)
- 『子どもの脳に良いこと悪いこと』(成田奈緒子/講談社)
- 『「学力」の経済学』(中室牧子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
- 『幼児教育の経済学』(ジェームズ・J・ヘックマン)
- 教育評論家によるブログ・コラム記事等